【リポケ外伝】「李信、ついにフラグが立つ」( No.4 )

日時: 2017/12/14 01:05:05
名前: 李信
ID: W9tKmk0.

「ずっと好きでした李信さん!いえ、好きです!愛しています!好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き!好き過ぎて好き過ぎて貴方を私のモノにしないともう私おかしくなっちゃいそうなんです!好き好き好き好き好き好き好き…」

「…」

生まれて初めてである。李信が異性に告白されるのが、である。前世でもこの世界でも今まで1回もなかった出来事。それが唐突に、狂った状況で起こった。
しかし李信の心に喜びは毛程も無い。あるのはただ恐怖のみだった。

「…事情は分かった。気持ちを受け入れてやらなくもない。だがこれでは俺は動けない」

李信はそう呟くように返答した。気持ちを受け入れるというのは嘘だったが油断させるにはそう答えた方がいいだろうという目算があった。

「拘束を解け。心配しなくても通報はしない」

しかし少女は李信の言葉に対して不思議そうに首を傾げるだけであった。

「聞いているのか?まずは拘束を…」

「何言ってるんですか?」

少女が話をまともに聞いていないようなので李信は再度少女に拘束を解くように言うが、少女から返ってきたのは理解し難い疑問形の答えだった。

「貴方をこの家から出すわけないじゃないですか!貴方は死ぬまでこの家で暮らすんです!死ぬまで私と一緒に!もう貴方は私以外見る必要も感じる必要も無いんです!」

少女のこの答えに李信は恐怖で身がすくむ思いがしたが、簡単に引き下がるわけにはいかない。

「馬鹿な。冗談は大概にしろ。遊びでは済まされないぞ」

「遊び?遊びってどういう意味ですか!?私は本気ですよ!?私が遊びでこんなことをすると思ってるんですか!?遊びで貴方に告白すると思ってるんですか!?」

「おい、だから落ち着けと…」

「こんなに!本気で!愛してるのに!分かりました…私が本気なことを証明します…!」

李信の制止などまるで意味がなかった。少女は一方的な好意を告げた直後に自分の唇を李信の唇に重ね合わせた。

「…!」

「…プハァッ!どうですか?これで本気だと分かりましたか?」

李信はこんな形でファーストキスを奪われようとは夢にも思わなかった。いや、そもそも死ぬまでキスなどする機会が無いと思っていた。もっとも、崩力の力で不死であるわけだが。そして唇が離れる際に唾液による架け橋が紡がれていく。

「本気なのは分かった。お前の気持ちも受け入れよう。お前のモノになってやる。だから拘束は解いてくれ」

「…駄目に決まってるじゃないですか…!」

此処から解放されるなら本当にそういう関係になってやってもいいと思い、その心中を明かした李信に返ってきたのは拒絶の言葉だった。

「何故」

「だって此処から出したら李信さんがまた他の女と話したり共闘したりしちゃうじゃないですか…!私以外の女が貴方と仲良くするなんて堪えられない…!」

「何のことだ。俺にはそんな相手は…」

「平沢水素さんのところの使用人姉妹と司書さんは?」

レムとラム、ベアトリスのことかと李信はすぐにその対象を理解する。が、別にその3人とはそういう関係ではない。むしろ嫌われている。

「奴らとはそんな関係じゃない。ただ仲間の部下だから接点が少しあるだけだ」

「分かっています。でも李信さんが他の女と話したりするだけで堪えられないんです」

「じゃあもう奴らとは一切関わらない。だから出してくれ」

「駄目です」

妥協案を出し続けても跳ね除けられてしまう。李信はそこまで頭が良い方ではない。交渉術も無い李信にはこれが限界だった。

「何故」

「外に出したら他の女が李信さんに懸想するかもしれないじゃないですか。せっかく私だけのモノになったのに。それに、どうして李信さんは外に出たいんですか?」

そうきたか、と李信は心中で呟いた。それを持ち出されてはもう外に出せと交渉する余地がなくなってしまう。

「まだ世界には、この国には外敵が現れるかもしれない。俺はまだ戦わなければならない。氷河期さんや星屑、マロンさん達ばかりに任せるわけにはいかない」

「そんなの、どうだっていいじゃないですか」

少女の瞳のハイライトが消える。完全に病んでいる者の目である。